近年、ビジネスシーンでもリュックサック(バックパック)を使用する人が増え、自転車通勤や両手が空く利便性から愛用者が急増していますが、葬儀の場におけるリュックサックは、たとえ黒のシンプルなデザインであっても、基本的には「マナー違反」と判断される可能性が極めて高いアイテムです。その理由は、リュックサックが持つ「アウトドア」「カジュアル」「活動的」というイメージが、静寂と慎みを重んじる葬儀の場とは対極にあるためであり、スーツにリュックというスタイル自体が、年配の方や保守的な層からは「礼儀を知らない若者」と見られがちだからです。特に、ナイロン素材でポケットがたくさんついた機能性重視のリュックや、ロゴが大きく入ったスポーツブランドのリュックは、ハイキングや遠足に来たような印象を与え、厳粛な雰囲気を著しく損なうため、会場内への持ち込みは絶対に避けるべきです。しかし、どうしても仕事の都合でリュックで移動しなければならない場合は、3WAYバッグ(リュック、ショルダー、手持ちに切り替えられるタイプ)を選び、会場に入る前にリュックのベルトを収納して「手持ちのビジネスバッグ」として使用するか、あるいは駅のロッカーに預けて手ぶらで参列するのが賢明な対処法です。もし、災害時や足腰が悪いなどの理由でリュックが必要不可欠な場合は、クロークに預けることを前提に行動するか、受付で事情を説明して許可を得るなどの配慮が必要ですが、それでも焼香の際にリュックを背負ったまま遺族の前に出ることは失礼にあたりますので、必ず下ろして手に持つか、脇に置くようにしましょう。時代とともにマナーは変化するものではありますが、リュックサックがフォーマルウェアの一部として完全に認められるにはまだ時間がかかりそうですので、現時点では「葬儀にリュックはNG」と心得ておくのが、無用なトラブルや白い目を避けるための安全策と言えます。