高価なブランドバッグは品質も良く、黒色のシンプルなデザインであれば葬儀でも使えるのではないかと思われがちですが、実は「ブランドバッグ」というだけでマナー違反のリスクを孕んでおり、その判断基準は非常にデリケートです。マナーの基本原則として、葬儀では「ブランドロゴが目立つもの」や「一目でどこのブランドか分かる象徴的なデザイン(モノグラム柄など)」は、持ち主のステータスを誇示したり、ファッション性を主張したりするものと受け取られるため、厳禁とされています。例えば、ルイ・ヴィトンのモノグラムやダミエ、シャネルのココマークが大きく入ったバッグ、エルメスのバーキンなどは、たとえ黒色であっても「高級品を見せびらかしに来た」という印象を与え、故人を偲ぶ場にはふさわしくありません。しかし、ブランド品であっても、ロゴが小さく控えめで、遠目にはどこのブランドか分からないようなシンプルな黒の革バッグ(例えば、エルメスのボリードの黒や、ロエベのアマソナの黒など)であれば、質実剛健なフォーマルバッグとして使用しても問題ないという見方が一般的です。ただし、チェーンショルダーのバッグ(シャネルのマトラッセなど)は、金具が目立ち、パーティーバッグとしての認知度が高いため、葬儀には不向きですし、エナメル素材のブランドバッグも光沢が強すぎるためNGです。要するに、「ブランドものであること」自体が悪いのではなく、「ブランドを主張すること」がマナー違反となるわけですので、もし手持ちのブランドバッグを使う場合は、ロゴが見えないように持つか、スカーフなどで隠す(ただしスカーフも黒に限る)といった配慮が必要になります。とはいえ、詳しい人が見ればすぐに分かってしまうのがブランドバッグですので、無用な嫉妬や陰口を避けるためにも、葬儀にはノーブランドの、あるいは冠婚葬祭専用のバッグを持つことが、最も無難で賢い選択と言えるでしょう。