ご遺族として葬儀を執り行う立場になった際、参列者の方々からお供えとして落雁をいただくことがあります。感謝の気持ちと共に受け取る一方で、その飾り方や後の扱いについて戸惑うこともあるかもしれません。故人への弔意を大切に受け止め、適切に対応するための基本的な作法を知っておくことは非常に重要です。まず、いただいた落雁は、祭壇にお供えするのが基本です。祭壇には供物台が設けられていることがほとんどですので、そちらに飾ります。供物台がいっぱいになってしまった場合は、祭壇の脇や、会場に設けられた供物専用のスペースに飾ります。その際、誰からいただいたものか分からなくならないよう、お名前が書かれたのし紙は見えるようにしておくのが一般的です。落雁は左右一対で飾ることが多いため、バランスを見ながら配置しましょう。あまりに多くのお供えをいただいた場合、すべてを飾るスペースがないこともあります。その場合は、代表的なものや、特に近しい方からのものなどを優先して飾り、残りは会場の隅などにまとめて置かせていただくといった対応を取ります。大切なのは、いただいたお気持ちをないがしろにしないことです。葬儀が無事に終わった後、祭壇から下げた落雁は、前述の通り「お下がり」として皆で分かち合うのが慣習です。まずは、葬儀でお世話になった親族や近所の方、お手伝いいただいた方々へのお礼としてお渡しします。遠方からの参列者にも、持ち帰りやすいように小分けにして配ると喜ばれるでしょう。もちろん、ご遺族の家庭でもいただきます。これは故人の供養に繋がる大切な行為です。ただし、あまりにも量が多く、家庭内だけでは消費しきれない場合も考えられます。そのような時は、お寺や地域の施設などに相談し、寄付として受け取ってもらえないか尋ねてみるのも一つの方法です。何よりも重要なのは、故人を想って供えてくださった方々の気持ちに感謝し、いただいた落雁を最後まで粗末にしないという心構えです。
遺族が知るべきお供えの落雁の作法