葬儀の場でぺたんこ靴を履くことが許容されると分かっても、具体的にどのような靴を選べば良いのか迷う方は多いでしょう。選び方を間違えるとカジュアルな印象を与え、意図せずマナー違反と見なされてしまう可能性もあります。故人への敬意を払い、厳粛な場にふさわしい装いとするために、失敗しない葬儀用ぺたんこ靴の選び方のポイントを解説します。まず最も重要なのが素材です。葬儀用の靴として最もフォーマルとされるのは、光沢のない布製のものです。しかし、ぺたんこ靴で布製のものは選択肢が少ないため、光沢を抑えた本革や合成皮革も許容範囲とされています。絶対に避けるべきなのは、エナメルやスエード、爬虫類系の型押しなど、光沢が強いものや殺生を連想させる素材です。あくまでも「光沢がなく地味な印象」であることが大前提です。色は黒一択です。紺やダークグレーなど黒に近い色ではなく、必ず混じりけのない真っ黒な靴を選びましょう。そして、デザインのシンプルさが極めて重要です。金具のバックル、リボン、ビジュー、目立つステッチなど、いかなる装飾も付いていないプレーンなデザインが基本となります。一見地味に感じるかもしれませんが、葬儀の場ではその控えめさが最大の美徳です。つま先の形は、丸みを帯びたラウンドトゥや、角張ったスクエアトゥが落ち着いた印象を与え、無難です。先端が鋭く尖ったポインテッドトゥは、ファッショナブルな印象が強くなるため、避けた方が賢明でしょう。また、同じぺたんこ靴でも、一般的にバレエシューズやローファーと呼ばれるデザインは避けるべきです。バレエシューズは可愛らしい印象が強くフォーマルさに欠け、ローファーは学生靴や仕事靴のイメージが強く弔事には不向きとされています。これらのポイントを踏まえ、デパートのフォーマルウェア売り場や靴専門店などで、「冠婚葬祭用」として販売されているものから選ぶのが最も確実です。いざという時に慌てないためにも、条件に合う一足をあらかじめ準備しておくと安心です。