身内が亡くなると始まる相続の基本と注意点
父、太郎さんが亡くなり、母の花子さん、長男の一郎さん、長女の二子さんが遺族となりました。太郎さんは特に遺言書を残していませんでした。このような場合、法律で定められた法定相続人が、法律で定められた割合(法定相続分)に基づいて遺産を分けることになります。このケースでは、配偶者である花子さんが2分の1、子供である一郎さんと二子さんが残りの2分の1を等分、つまりそれぞれ4分の1ずつ相続する権利を持ちます。しかし、これはあくまで権利であり、必ずこの通りに分けなければならないわけではありません。相続人全員で話し合い、「遺産分割協議」を行って合意すれば、自由に分割割合を決めることができます。例えば、今後もその家に住み続ける母の花子さんが自宅不動産を相続し、子供たちは預貯金を分けるといった形です。この協議がまとまったら、「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員が署名と実印の押印をします。この書類は、不動産の名義変更や預貯金の解約手続きに必要となります。一方で、もし太郎さんが「全財産を妻の花子に相続させる」という有効な遺言書を残していた場合、原則としてその内容が優先されます。ただし、一郎さんや二子さんには「遺留分」という最低限の遺産を受け取る権利が保障されています。相続は、財産だけでなく借金などの負債も対象となります。もし明らかに負債の方が多い場合は、相続の権利を一切放棄する「相続放棄」という手続きを家庭裁判所で取ることも可能です。相続手続きは専門的な知識を要することも多いため、複雑な場合は弁護士や司法書士などの専門家に相談することが賢明です。